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2007.01.29 衝撃(1)
おそれていたことが、やって来ようとしてきている。
それはかつて起こって欲しかった「奇跡」だった。
けれどもいまは違う。
なおも私は、過去に苦しめられなければならないのだろうか。


試験中の上に幼稚園での責任実習を控えた私は、現実から逃げるかのようにPCでのネットサーフィンにハマっていた。
かるい気持ちでアクセスしたブログ。
そこに書いてあった内容は、私を瞠目させるにあまりあるものだった。

あいつが、彼女と別れた―。

事実を淡々と綴っただけの記事を読み終えた途端、笑いがこみ上げてくる。

(勝った…!)

自分でも気味がわるくなるくらいの高笑い。
ハイになっているのがわかる。

(ざまあみろ)

あいつが迎えた恋愛の終焉に、私はいまのしあわせを思う。
止まらない笑いを押さえようとせず、私は携帯を手にする。
電話の相手は親友のC。
とくに力になってくれた友達の1人だ。
「あっ、もしもし」
うかれた口調で事の次第を喋る私と一緒にCも笑う。
「あはっはっはっはっはっはっ…いままでのことは決して無駄じゃなかったよねえ」
いつもより2トーン高い笑い声の混じった喋りの私に対し、は同調する。
「よかったじゃない。もしあいつと○○(私の本名)がつき合ってたとしたら、今回みたいにうまくいかなかったと思うよ。まわり道をしたけど、徹也さんに出会えた訳でしょ」
「そうよ、徹也は私のことをとても大事にしてくれるわ。こんな訳アリな女でもいいって言ってくれたんだからね。それに、こんな見方はよくないかも知れないけど、徹也は中学から私立だし、6大学出身だし、東証一部上場企業で働いてるわ」
30過ぎても根無し草なあいつとは違ってね―。
と、ココロのなかでつけ足す。
毒づきながら、軽蔑をこめて。
「ねえ、あたしのいままでって、決してむだじゃなかったよねえ。お酒ばっかり飲んで、あいつを忘れるために出会いさがしまくって、生理だって狂ったり、体重だってふえたりへったりしながらさあ」
「そうだよ」
ジャンキーのように一方的にまくし立てる私にCは同調する。
「あの頃の辛さは決して無駄じゃなかったことが証明されたよ。その結果、徹也さんと出会えた訳でしょ。いい選択をしたと思うよ」
「そうよ、徹也は今週末に私の誕生日を祝ってくれるの。そのためにレストランまで予約してくれたんだから」
29歳になるその日、彼は私のリクエストに答えてフレンチかイタリアンのお店を予約した。
その時の私の頭には、建築士と過ごした去年の誕生日のことは一切なかった。
彼は知らないが、建築士は身代わりに過ぎないのだ。
当然ながら、建築士もそのことは知らない。
そして彼もかつてはふられた男の身代わりだった。
彼もまた、それを知らないままでいる。

ようやく落ち着きを取り戻した私は、Cにひとつの頼みごとをする。
「ねえ、ちょっと調べて欲しいことがあるんだけど…」
それは、条件を満たした第三者でないとできないことだった。
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