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新宿は私にとって庭のようなところだった。
この街で生まれてはじめてのバイトをし、映画や催し物、服や靴を見たり、おいしいものを食べたり飲んだりする。
ときには1人で、ときには友達や他の誰かと。
「私が遊んでいること、バレちゃうね」
おどけた調子で言う私に対し、並んで歩くそのヒトは、
「そんなことはないよ」
というニュアンスを漂わせる。
昨年まで新潟での生活にどっぷり浸っていた彼を連れ、私はリーバイズショップに入る。

メンズフロアではまず、平積みにディズプレイされていたダメージ加工を施したジーンズに触れる。
彼は興味ぶかくそれをあらためる。
だが、これは彼のテイストじゃない。
ノンウォッシュのジーンズを探したところ、それは右側の棚にあった。
「こんなのもあるよ」
それとなく彼を誘導する。
彼は私が勧めたそれを手にとるや
「俺、こっちの方がいいんだよね」
と、言う。
うそ・・・ここでも同じことを考えていたんだ!
私は内心歓声を上げる。
こんなことは、今日2回目だ。
彼は自分のサイズに合った502と503の2本を手に取り、試着室に入った。
「503ははけなかったんだ」
と、502をはいたところを見せる彼。
「うーん、これもいいけどもうちょっと細身でも似合うな」
私の目論見に気づいていないのか、彼は素直に同調し、そのまま店員に細身のジーンズを持ってきてもらった。
「俺こんな細いズボンはくことなかったんだけど・・・」
少し照れる彼に対し
「大丈夫よ、よく似合ってるよ」
私は素直に感想を述べる。
リーバイスの505は、彼の身体的特性をよく生かしていた。

ジーンズの次は靴を買いに、マルイのメンズ館に行った。
私達はまず小休止し、1階のアクセサリー売り場を見ることにした。
ネックレスや指輪を見ながら、彼は
「今日買った服、絶対おまえが選んだんじゃないだろって突っ込まれるな」
とものすごくうれしそうに話しだした。
「あれ、私達のこと話してないの?」
小さな疑問を口にする。
「何人かには話してるよ。隠すことじゃないし」
隠すことじゃない―。
この言葉に、私は新鮮味をおぼえる。
私の右隣でアクセサリーを眺めているそのヒトには、スレたところがないことを物語っている。
私は彼や彼の周囲のヒトにとって「彼女」と呼ばれる存在なのだ。
途端、目の前が明るくひらけてきた。
あたたかい春風が吹いて、花びらが舞う日なたの世界。
いままでひた隠しにする関係ばかり結んでいた私はまだ、そこの明るさに慣れていない。
これから慣れていくのだろうか。
学校があって、バイトがあって、ウタがあって、友達や家族がいて、彼がいる。
1つグレードアップした幸福な日常に。
(改造されるは私の方か・・・)
この日、飴色の革靴を買った彼と夜まで過ごしながら、そんなことを考えた。
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