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「日曜は午後から雨が降りだすでしょう。お花見は土曜のうちに」
どこの天気予報を見ても同じ忠告をしてくれている。
(どうか外れて欲しい)
いくら念ずれど、日が近づくにつれて現実味をおびてくる。
つきあって以来の初めてのデートは、雨の幕開けになりそうだった。
私は雨がきらいだ。
雨の日に会った男性とは、事件が起こる。
うつだったヒトと初めて関係を持ったのも、雨の日だった。
だけどもう、そんな自分じゃない。
このヒトとなら、ちゃんと順序を踏んだおつきあいをしていけるはず―。
決意を胸にドキドキしながら、所沢駅の西口改札で彼を待つ。

待ち合わせの時間と同時に、彼は来た。
昨日切ったばかりの髪はスッキリしていて、黒いトップスによく映えた。
対する私は、黄色がかったベージュのトレンチコート
(ひもを後ろでぐるぐると巻きつけて細身にしていた)
をはおり、黒のVネックのニットとベージュのレースキャミを重ね着。
そして首元には、ティファニーのネックレス。
グレーのカーゴパンツをはき、動きやすい恰好をしてきた。
今日はお花見。
向かう先は、航空公園。
私達はクルマに乗り込んだ。

ブルーシートを広げて宴会をするお花見客。
キャッチボールやサッカーを楽しむ親子連れ。
スケボーやバスケに興じる中学生ぐらいの男の子。
さまざまな世代のヒトタチが、思い思いの休日を満喫している。
まだ雨は降っていない。
園内を散策し、桜の木の下で2ショット写真を撮る。
1回は彼の携帯で、もう1回は私の携帯で。
撮れた写真は、2回とも肩を寄せ合ってもいない。
カップルとして最初の記念づくりは、ものすごく初々しいものだった。
「あーっ、こういう休日っていいなあ」
売店のテラスで休んでいるとき、彼がほっとした調子で言う。
「そうだよね」
つられて私もうなずく。
彼には5年間、彼女と呼べる存在がいない。
仕事と、友達づきあいと、趣味のサッカーと中国語。
彼の日々はこの3本柱で構成されていて、本人は
「それはそれで楽しかった」
と言う。
彼に彼女がいなかった時間と同じくらいの時間を、私もそうやって生きていた。
仕事、友達づきあい、趣味のゴスペルとカナダに行く計画。
お互い言い寄られることはあっても、相手はその気になれないヒトばかりだったし、私は過去の恋愛をひきずる名人。
それを理由に断って、恋愛がなくても充実しまくった生活を楽しんでいた。
「キャンペーンやってた頃の写真を見せて」
当時の写真は既に見せている。
太ってしまった今、それを見せるのははずかしい。
仕方ないなあと言わんばかりに私は、携帯のなかに保存されている写真を見せる。
「OOちゃん(私の本名。いつか呼び捨てで呼ばれる日が来るのだろうか)がキャンペーンやってた頃に会ってたら、俺、びびって声もかけられなかったなあ。すごいもてたでしょ」
「そんなことないよ。恋愛避けてたし。でも、前の前の会社を辞めてから急に声をかけられる機会が増えたのよね」
最後の一言の半分は脚色だ。
合コンやパーティなどのハンティング活動をしまくっていたのだから。
「・・・妬いちゃうな」
つとめて明るく彼はつぶやく。
彼は携帯のデータフォルダ内の写真と動画を一挙に全部見せてくれた。
対する私も、動画とクワイヤーのメンバーたちの写真
(専用のフォルダを作っているのだ)
と去年12月までに撮った写真を見せる。
このなかの全ての写真はまだ、見せられない。
1枚だけ、消さなければならない写真がある。
いつかその理由すら忘れられるようになればいい。
こうして彼との日々を積み重ねていこう。
お花見とファミレスディナーという、超がつくほど健全なデートをした相手を、私は愛しく思えるようになり始めていることに気づかされた。
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